展覧会企画

最後の浮世絵師
月岡芳年展

 メ〜テレ(名古屋テレビ放送株式会社)には数千点におよぶ浮世絵コレクションがあります。これは、人びとに情報と楽しみを提供する浮世絵のメディア性に着目したテレビ局が、個人コレクションを昭和50年(1975)に一括購入したものです。
 そのコレクションは、数量としては一枚物が約5,000枚と、30数冊にまとめられた(合本)3,400枚余からなっており、内容としては浮世絵の創始者である菱川師宣から明治までが含まれていますが、なかでも幕末明治期のものは充実しております。
 今回の企画は、そうしたメ〜テレの浮世絵コレクションから、近年人気が高まっている明治浮世絵の第一人者月岡芳年にスポットをあてて紹介しようとするものです。浮世絵の人気は、かつてのような春信、歌麿、写楽といった絵師から、 北斎、広重以後の幕末浮世絵に移りつつあります。特に歌川国芳(1796〜1861)とその弟子である月岡芳年(1839〜92)は、柔軟な発想と、たくましい絵心で、幕末明治の浮世絵界を活性化させた浮世絵師として近年すこぶる人気が高まっています。メ〜テレの浮世絵コレクションにはこの芳年の作品が多く含まれています。一枚もので247点と合本にも50点ほどがあり、近年の芳年人気を予知したようなコレクションでもあります。
そこには、芳年芸術の集大成で彼の代表作である「月百姿」シリーズはもちろんのこと、妖怪画シリーズの傑作「新形三十六怪撰」シリーズ、近代日本画の美人画を予兆させる「風俗三十二相」シリーズ、近代性があらわな「新撰東錦絵」シリーズなど、重要な作品が網羅されており、芳年コレクションとして質、量ともに手応えのあるものとなっています。本展は、その優れたコレクションから作品を精選し、人々に情報と楽しみを提供するために、浮世絵というメディアが最後まで新しい画題と表現に挑み続けた様子をお楽しみいただくとともに、魅力あふれる芳年作品を鑑賞していただく機会を提供するものです。

会場・会期

金沢21世紀美術館
2021年4月24日(土)~5月23日(日)