展覧会企画

笠岡市立竹喬美術館所蔵名品展
移りゆく自然を描く 小野竹喬の世界

このたび、笠岡市立竹喬美術館のコレクションより、小野竹喬の代表作を一堂に会する展覧会を開催いたします。

笠岡市立竹喬美術館は岡山県笠岡市出身の日本画家、小野竹喬(1889-1979)の芸術を顕彰する美術館として、昭和57(1982)年10月に開館しました。美術館建設の構想時は、わずか18点の所蔵品でしたが、開館 40 年を迎えた令和4(2022)年3月末には、竹喬作品1700 点(素描等を含む)、その他京都の日本画など2191点を所蔵するまでになりました。

竹喬は、14歳のとき、明治36(1903)年に京都の竹内栖鳳に師事したのち、昭和54(1979)年に89歳で亡くなるまでの75年間、日本の自然を描き続けました。その制作姿勢は一貫しており、季節の移り変わりのなかで、日常にふと目にするささやかな自然の表情を、親密な視線で素直に捉え、鮮やかにそして明快に表現しています。とくに晩冬から早春にかけての大地の装いや樹木の芽吹き、その萌しを「自然の香り」と称して、清澄に捉えています。また後半生の戦後の作品においては、夕焼けの茜空を題材として、時々刻々と変化する空や雲の様相を、心温まる色彩で柔和に表しました。生涯にわたるさまざまな功績により、昭和51(1976)年には文化勲章を受章しています。
この企画では、竹喬美術館が所蔵する小野竹喬の名品の数々により、近現代を代表する自然表現の精華をご紹介します。